As well be hanged for .....
第19章 勝利は未熟に 死は盲目に 後編
安心し、気を失う様に眠りに着いたウリエは、すぐに目を覚まし、トーマスの死体を、エドガーを呼んで彼に処理させた。
鑑識や刑事、関係者が屋敷に少数だが出入りする。
外にはメディアが押しかけ、中継です!と騒ぐ。
「トーマス……」
「私も驚いたわ。気が付かなかったの?」
「まったく。ただ、ご令嬢の事を崇拝するかのごとく好いてはいましたが。」
「まぁ、好きずきは人それぞれだし…。」
カシャリ、カシャリ。と鑑識のカメラがトーマスの遺体をそのフィルムに収めて行く。
淡々と処理を進めて行く彼らから少し離れたところで、ウリエとエドガーは作業を見守る。
生憎日が沈み、薄暗い部屋にライトを立てて、と言う窮屈そうな作業だ。
「本当は、ただのストーカーではなかったのではないですか?」
エドガーが声を潜め、ウリエの耳元で囁く。
「いいえ。ただのストーカーよ。」
ぴしゃりと言い切るウリエ。
その言葉は、演者のセリフのように響く。
彼は裏の人間ではない。
教える必要はどこにもない。