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As well be hanged for .....

第19章 勝利は未熟に 死は盲目に 後編



こんなこと初めてだ。
死体を見ても、どれだけ悲惨な現場を見ても、気持ち悪いと思う事はなかったのに。
目の前で倒れている眉間を撃ち抜かれたトーマスの死体が、ぎょろりとこちらを見たまま死んでいることに耐えられなかった。

ウリエは震える四肢に鞭を打ち、四つん這いでもいい、無様でいい、這ってでもこの場を離れたかった。
早くここを離れないと、何か得体のしれない物に捕まりそうで、大好きな悪魔の二人に置いて行かれそうだった。

「お嬢様!」
「セ、セバス…」
「お迎えに上がりましたよ。大丈夫です。置いて行きませんから。」

ふわりとウリエを抱き上げる悪魔。
特別温かい事はない、けれど、その心地のいい拘束に安心する。

「シエル…は?」
「無事です。悪魔はそう簡単に死にません。」
「よか、た。」

セバスチャンは、自分の腕の中で力を抜きすべてを預けてくる彼女を、今だけは少し慰めてやろうと、抱きしめる。

「ぼっちゃんは部屋に居ます。しかし、今はまだ部屋には立ち入らないようにお願いします。」
「うん…シエルが無事なら、いい。」

こてん。と急に首の力が抜け、セバスチャンの胸に頭を預けるウリエ。
お嬢様?とセバスチャンが呼びかけるが、返ってきたのは小さな寝息だった。

あわや、こいつはシエルを騙している小悪魔か。と疑うところだった。

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