As well be hanged for .....
第19章 勝利は未熟に 死は盲目に 後編
「手投げ弾でも投げ入れられたら、あの時の二の舞だわ。」
「二度もレディに怪我を負わせる訳にはいきませんね。」
コツン。と足音のような物が聞こえた。
三人はピタリとその場で足を止め、シエルは銃を構え、ウリエもゆっくりと音を立てず剣を抜く。
セバスチャンはそんな二人の前に立ち、音を立てず足音のような音の出どころへと近づいていく。
ヒュ!と飛んできたのは鎖鎌。
ゲームの中でしか見る事のないような道具に、少しだけ拍子抜けする。
セバスチャンめがけて一直線に飛んできた鎖鎌は、彼の手に、ぱし。と捕まる。
掴んだ鎌から伸びている鎖を一気に引けば、ゴトン。と大きな音を立てて柄の部分だけがセバスチャンの所へ到着する。
「人間なのは間違いなさそうですよ。」
と言う事は、悪魔やそれ以外の非現実的要素の多い物ではないと言う事だ。
シエルは銃のグリップを握りしめ、人間より感度のいい耳を澄ませる。
近くはウリエの心臓と呼吸の音。
その遠くには、セバスチャンが鎖鎌を回収する音。
そして、その間に、早鐘を打つ心臓と荒い呼吸の音。
ダァン!とその方向に向かって銃を撃つ。
セバスチャンが目敏く動き、シエルが銃を放った壁を力技でぶち抜き、その壁の向こうに潜んでいた人影を押さえつけた。
「さすがです、ぼっちゃん。」
「お前がさっさと捕まえないからだ。」
「不甲斐ないです。」
まるで何事もなかったかのように茶番劇を繰り広げるシエルとセバスチャン。
ウリエは、壁を足蹴り一つでぶち抜いたセバスチャンの馬鹿力に、ちょっと引いていた。