As well be hanged for .....
第18章 勝利は未熟に 死は盲目に 前篇
「一家惨殺事件は、女王に自分が生きているのではないか、という疑惑を持たせるための殺人。だからフェンベルグ家と同じ家族構成の家を狙った。」
「女王への当てつけ半分、自分の家族が彼らのように平穏ではなかったことへの憂さ晴らし半分だったがな。」
シエルがそう言いながらタブレットを起動させ、画像を映し出す。
そこには、びっしりと文字が書かれた手帳の一ページ。
日記か、覚書のようだった。
「いつの間にこんな猟奇的な思考が芽生えていたのかは書かれていないけれど。父が番犬として、邪魔者を排除していく毎に、段々と文字や文が荒れていくのを見ると、きっかけは番犬の仕事と言う事になりそうね。」
指をスライドさせ、次の写真を表示させる。
日記のような写真がそれから何枚も続いている。
ファシルが自分の胸の内を書き残していた、ダイアリーの写真だ。
本物は女王への報告の手紙と共に送ってあるので実物はもうない。
一ページずつ丹念に調べ上げ、写真に収めた上で女王へ送った。
「表沙汰にはなっていなかった武器の売買については、結構な金が動いていたな。」
「子供の臓器って結構高値で売れるのね。まぁ、あれだけの人数だし、この日記を見る限り、かなり大きな闇市に流れていたみたいだから、莫大な資金源になったでしょう。」
「その資金で、唐突に表沙汰になるような大規模な爆破事件を起こした。」
「狙いは女王。」
「その女王がバッキンガムに行かなくなった事や、お前が来ていた事をきちんと調べ上げていなかったのは、ただの放漫だな。」
「……本当にそうかしら。」