As well be hanged for .....
第18章 勝利は未熟に 死は盲目に 前篇
女王からの返信の手紙は、いつもと変わらない簡潔な文章だった。
ウリエはその内容に、ふてる訳でもなく、喚く訳でもなく、ちょっとだけ眉を寄せて困ったような顔をするばかりだった。
「なんか、肩すかしだな。」
「う、うん。」
ウリエの父、ファシル・フェンベルグがロンドンでの一連の事件を起こし、前女王の悲惨な死にも関わっていた事実を、簡潔に了承し、ロンドンに平和が訪れた事を心から喜んでいる旨の内容だった。
「なんだか、毒気を抜かれたわ。」
「…あの時、意気込んで、女王を殺す。とか言ってたお前が恥ずかしいな。」
「そうね。」
ただ。
女王からの返信が簡潔すぎやしないかと、疑問だった。
「知っていたのかしら。」
「…自分が狙われている事を、か?」
「えぇ。」
だって…。とウリエは言葉を続ける。
「シエルと出会ってから最初の仕事。大麻サロン。」
父ファシルが、あのサロンに出入りしていた証拠も理由も掴んでいる。
女王の薬物入手ルートを探るため。
彼女の弱みを探るには一番最適な場所だったため、ファシルは服にその匂いが染みつくほどにあの場所に入り浸り、第二のアジトとして部下と接触するために使っていた。
女王のお膝元がいい隠れ蓑になっていたと言う訳だ。