As well be hanged for .....
第18章 勝利は未熟に 死は盲目に 前篇
ここ数カ月。
ロンドンを襲っていた猟奇的な事件の数々は、終わりを告げる。
ウリエの父、ファシル・フェンベルグは教会の地下、自らの城の王座でその舞台に幕を閉じた。
スポットライトの当たらない舞台には主役だけが残され、その場で朽ちて行くのを待つばかり。
永遠に舞台から降りる事はなく、新たなお客が来るまでその中心で横たわり続ける。
生きていた証である赤い血は、その人の一生を表すような赤黒く重々しい牢獄のような色に変わり。
その身体は、自らに試練を与える聖職者のように肉が腐るまで。
美しい白い骨が顔を出すまで。
この舞台は彼の物だ。
誰にも見つかる事のない、ただ一人のための大きな墓だ。
かの教会は更地にされ、分厚いコンクリートで覆われた。
その上には、美しい公園も、広場も、新たな教会も立てられる事はないだろう。
人々の行き交う道路となって、永遠に土足で踏みいれられる誰も知らない墓になる。