As well be hanged for .....
第17章 成果は舞台に 喜劇は皿に 後篇
「お前はどうするつもりだ。すべてフラットにすると言った。」
「言ったわ。」
「それは女王を殺す。と言う事か?」
「えぇ。」
迷いのないウリエの言葉。
ファシルは、過去の自分と同じ事をしようとしている娘とを重ね、その違いに落胆する。
馬鹿の一つ覚えのように、尻尾を振る事ばかりを追い求め、快楽と本能に走った自分。
尾を振ることを恥と知り、本能を理性で押しとどめ、その澄んだ両眼で現実と向き合い、自分に与えられた運命を受け入れた娘。
どちらが愚か者か今ならわかる。
いや、どちらも愚か者なのだ。
「女王を殺してどうする?何処へ行く?」
「全て終わるの。何処へも行かない。」
「行かない?」
首に刃があてられている事も忘れ、驚いて後ろの娘を振り返ってしまった。
最後に見た時より、少し大人っぽく成長しているウリエ。
母よりも自分に似ている容姿が愛おしい。
「それは私だけの秘密。他人にベラベラ喋るような下品な事しないわよ?」
「…そうか。お前には行く先があるんだな。」
「ええ。一緒にはいけないわ、お父様。」
深い森の様な緑の瞳と、宝石のエメラルドのような瞳が見つめ合う。
「綺麗になったな。」
「今までありがとう、お父様。」