As well be hanged for .....
第17章 成果は舞台に 喜劇は皿に 後篇
ウリエは、座りたいと含みを持たせた返事を返してきたシエルにイスを譲る。
「イギリスのヒーローにもマントを付けてやらないとな。」
「あくまでヒーローってロゴの入った。ね。」
クスクスと楽しそうに笑うウリエとシエルの周りでは、セバスチャンが仕事をこなす。
そんな様子をあっけらかんと見ていたファシル。
「な、なにが起こっているんだ!あいつはロボットか?!」
「いいえ?あくまで執事よ。ただの、ね。」
「執事だと!あれのどこが執事だと言うんだ!」
イスを立ち、肩を怒らせ、ずんずん。とこちらに向かって歩いてくる。
その顔は怒りではなく、嫉妬。
あんな面白そうなおもちゃを自分ではなく、自分の娘が持っていることに嫉妬しているのだ。
「何処で手に入れた。」
「偶然。それに私のじゃないわ。」
「誰のだ!こいつのか!」
汚らしく唾をまきちらしながら、標的をシエルに変える。
「あぁ。僕のだ。誰にもやらん。」
「いくらほしい?!言い値で買う!」
「金はいらない。必要ない。」
じゃぁ、なにが!とさらに食ってかかろうとファシルがシエルに手を伸ばそうとした時、ファシルの身体がグン!と後ろに逸れ、あっという間に元いたイスに座らされていた。
「交渉でしたら。どうぞ座って行ってください。」
「なんっ」
セバスチャンが優雅にファシルの前で一礼して見せる。
その服装や髪形に一切の乱れはなく、呼吸すら上がっていない。
ファシルは手塩にかけて育て上げて来た、自慢の側近たちが無残にも床に伸びているのを視界の端に捉え、餌を求める鯉のように口を開閉する。