As well be hanged for .....
第17章 成果は舞台に 喜劇は皿に 後篇
そうだ。
選択肢は二つじゃない。
優秀な番犬は、きっちり庭を守るべきだ。
「私は野犬じゃないわ。」
「じゃぁ、パピーだな?子犬だ。生まれたての。一からやり直す。」
「私は女王の守るべきこの庭を、影から守る番犬よ?もちろん、そこには女王の命もあったかもしれないわ。どこそこの雑草が伸びすぎているだの、枯れているだの、って。でも、その女王様の杞憂を作らないのが一番だわ。」
「何が言いたい。」
「次なる女王の杞憂の事を考えた。それだけ。」
ウリエはイスから立ち上がり、腰の剣を抜く。
それをきっかけに両脇に控えていた、メイドや黒服が一斉に武器を構える。
銃やナイフ、よくわからない飛び道具。
ファシルだけが優雅にイスに座ったままだ。
「よせよせ。剣がちょっと上手だからって、この人数に勝てるとは思えないよ?彼らは私のおもちゃの兵隊。その後ろにいる、ボーイフレンドと執事がスーパーマンじゃない限り勝ち目はない。」
「シエル。」
「好きに使え。」
ずっと立たされている事が気に食わないようで、機嫌が悪そうな声が返ってきた。
「セバス。」
「はい。お嬢様。」
「貴方、スーパーマンだったかしら?」
「マントが無いのでそうとは言い切れませんが。」
「紛いでもいいわ。周りを黙らせて。」
「御意。」
びゅ!とセバスチャンがウリエの横を通り過ぎていく。