As well be hanged for .....
第17章 成果は舞台に 喜劇は皿に 後篇
「目の前にいる娘に、こう言う言葉は聞かせたくないが。女の顔は恐怖に歪む時が一番美しい。」
にやり。と笑うファシルの顔は到底人間に出来る顔ではない。
悪魔のごとき。と形容するのが一番しっくりくるだろう。
「私の遊びはまだ続きがある。あと一手で女王の顔は恐怖に歪む。今はまだ怒りとか、悔しさってところだろうね。愉悦に浸って高らかに笑う女が一番嫌いだ。母さんはその点で美しい女だったよ。やんわり笑う笑顔が素敵だった。」
夜の恐怖の顔がまたそそる。楽しそうに呟くファシルに、ウリエは思わず目を逸らす。
優しく、強く、聡明。
父に憧れ、その背に追い付こうと必死にもがいていたあの時の自分は、やはり喜劇だったのだ。
「私の娘たちは最高の宝だった。リエラもお前も。無邪気な子犬のように、私の後を追いかけてくる姿は愛くるしかった。あぁ、実を言うとリエラが女王の元へ行ったのは私の指示だ。彼女にだけ私は本当の事を話していた。」
「…死ぬふりをする。って?」
「あぁ!祖父母の話をしたら快く女王の元へ下った。本当は言葉巧みに女王を騙して、ここに連れて来てもらう予定だったんだが、失敗した。リエラは壊れた。」
「壊れた、って…」