As well be hanged for .....
第16章 成果は舞台に 喜劇は皿に 前篇
「おはようございます。お嬢様、ぼっちゃん。そろそろご起床になるのではないかと思いお迎えに来ました。」
「別に頼んでない。」
「ちょっと、セバス!どうしてシエルが私のベッドで寝てたのよ!」
「おや!ぼっちゃん、こんな時間にレディのベッドに忍び込むなど、よほど押さえが効かなかったようですね。」
「本当は起こしに来たんだがな。」
堂々と嘘を付くシエルに付き合う様に、セバスチャンは大仰に、そうですかそうですか。と頷く。
ウリエは、自分の寝顔を見られた恥ずかしさと、嬉しさと、ドキドキを隠すために頬を膨らませ、ぷりぷりと怒ったふりを続ける。
赤く染まった頬を隠すために、ベッドから飛び降りて、お気に入りのシエルから貰ったチョーカーを掴み、だしだしと足音高らかに部屋を出てリビングへ向かう。
「随分大胆な事をしますね。ぼっちゃん。」
「黙れセバスチャン。行くぞ。」
「フフフ。はい。」
クスクスとセバスチャンの笑い声を背中に受けながら、こう言うのも悪くないな。と楽しむシエル。
そして、温かなスープの匂いのするリビングへ足を踏み入れる。
「ウリエ。僕の分も食べるんじゃないぞ。」
「シエルはご飯もいらないんでしょ!」
「別に食べられない訳じゃない。だから、残しておけ。」
「ふん!」
「…まったく。」
寝巻の様なゆったりとした部屋着に、まったく似合わないサファイアのチョーカーをしているウリエ。
シエルはまだ怒ったふりを続けている、ウリエに笑って、いつものソファーに腰掛ける。
ウリエと同じスープに口を付け、セバスチャンに、先ほどの話をしろ。と報告を促した。