As well be hanged for .....
第15章 答えは甘美に 制裁は憧れに 後編
やがて、トーマスの運転するパトカーはフェンベルグ家の敷居を躊躇することなく跨ぎ、本邸の勝手口の前に停車し、エンジンが切られ、慣れた様子で車から降りる。
一気に静まった辺りからは、トーマスの足音とキーを弄る音しか聞こえない。
すぐに、古いドアの鍵を開ける音と、ギィバタン。と連続する音が聞こえ、中から鍵が掛けられる。
「どうして私の家に…」
「ここがアジトと言う訳ですか。まさに灯台下暗しですね。」
「中に人の気配はあるのか?」
「いいえ。彼一人です。」
フェンベルグ邸の屋根の上。
シエルとセバスチャンはこの家の住人であるウリエに視線を送る。
突入するのか、出てくるのを待って中を調べるのか。
目を閉じ、眉を寄せ、しばらく考え込んだ末ようやく口を開いたウリエ。
「うーん……様子を見ましょう。出てくるのを待って、それから中を調べる。」
「そうだな。突然突っ込んで行って、水の泡になったら元も子もない。」
場所を庭の茂みに移し夜の闇になり切り、トーマスが出てきて車に乗り込み、ここを去っていくのをじっと待ち続けた。
ウリエはセバスチャンに抱かれたまま仮眠をとり、空が白み始めた頃になってようやくトーマスが姿を現し、ここを去って行った。
「おい、ウリエ起きろ。行ったぞ。」
「むう…うん。」
ぷは。とウリエは目を擦りながらセバスチャンの胸から顔を出す。
固まった体をほぐすために伸びをして、三人はまず窓から中の様子を観察する。