As well be hanged for .....
第14章 答えは甘美に 制裁は憧れに 前篇
屋敷に着いてパジャマに着替えた頃には、ウリエはウトウトしていた。
セバスチャンは体を温めるためのホットミルクを準備し、シエルは眠たそうなウリエをベッドに導くために手を引いて廊下を歩く。
「シエルは眠たくないの?」
「悪魔に睡眠は必要ない。」
「え?そうなの?知らなかった…」
ベッドサイドのランプの明かりだけの薄暗いウリエの部屋。
そのベッドの縁に二人並んで座って、ホットミルクの入ったカップで手を温めながら、小声で会話を楽しむ。
「悪魔は人間と違って、睡眠も食事も必要ありません。」
「へぇ…じゃぁ、シエルがご飯を食べるのはなぜ?」
「もちろん、お嬢様と一緒に食事を楽しむためですよ。」
「うふふ。そうなんだ。」
反論しようと息を吸ったシエルの顔の前に、人差し指を立てるセバスチャン。
ウリエはホットミルクに口を付け、恥ずかしそうに笑みを隠す。
シエルは執事の無駄な気遣いに眉を寄せたが、自分ではこうはいかなかっただろうな。と心の中で小さく思う。
そんなに多くは入っていなかったホットミルクのカップを回収し、セバスチャンは静かに一礼して部屋を出ていく。
「シエルは、夜何しているの?」
「セバスチャンとチェスをしたり。本を読んだり。後は、眠れない訳じゃないから寝たり、だな。」
「そう。」
もぞもぞ。とベッドに潜るウリエ。しかしどことなく寂しそうな物足りなそうな顔をする。
シエルはウリエの首元まで掛け布団をたくし上げ、ベッドサイドのランプの紐に手を伸ばす。
「消さないで。」