As well be hanged for .....
第14章 答えは甘美に 制裁は憧れに 前篇
ウリエのエメラルドの瞳にまた火が灯り始めた。
シエルはファイルと格闘を始めるウリエの横顔を、そっと盗み見る。
もうすぐだ。という思いに反して、もうすぐか。と惜しむ自分がいることにまだ整理が付かない。
そこにたどり着いた時、自分は彼女の魂を奪う事が出来るのか?
一つの不安が、心の中で段々と大きくなりつつあった。
「セバスチャン。トーマスの経歴と行動を調べて来い。」
「待って!」
セバスチャンが胸に手を当て、シエルに向かって一礼しようとした所にウリエに制止が入った。
「今、セバスに何もかも調べてもらうのは危険だわ。」
「なぜだ。」
「女王に疑われる訳にはいかない。」
母の命が握られているから。
ウリエ・フェンベルグではない何者かが、政府のお膝元を守る警察になんか手を出したら、それこそ女王の番犬のお株を奪われる形になる。
用済み。の判を押されてしまえば、人質になっている母など何も意味をなさなくなってしまう。
「こんな真昼間にパパラッチの間を縫って出掛けるのは自殺行為。仕方ないけど、古典的な方法で調べるしかないわ。」
「古典的、ですか。」
「張り込みよ。」