As well be hanged for .....
第14章 答えは甘美に 制裁は憧れに 前篇
セバスチャンは自分の前で、早く言え!と言わんばかりに視線を向けてくるシエルとウリエに、何とも言えない優越感を感じる。
「トーマス・ロヴィンソン。」
「トーマス?あの、エドガーの弟子?」
「えぇ。間違いなく。」
顔を隠していましたが、間違いありません。と言い切るセバスチャンに、ウリエは首をひねるばかり。
どうして警察官であるトーマス・ロヴィンソンが?という疑問と共に、警察も「義足の男」とグルだったのだろうか?と確証もない憶測が溢れる。
「エドガーと言う男は知っているのか?」
「さぁ。私にはわかり兼ねます。」
「でも、よくこんな映像でトーマスだとわかったわね。」
「フフフ。ファントムハイヴ家の執事たるもの、これぐらいできなくてどうします。」
ウリエは笑顔で言い切ったセバスチャンに、主があれなら執事もこれか。と顔が引きつった。
また、新たな事実を手に入れた三人。
トーマス・ロヴィンソンが彼らの一員だと言う事で、また一から情報を集め直さなければならない。
「まさか向こうも、顔が割れたとは思っていないだろう。」
「そうですね。あの映像は人間では到底見えるような物ではないでしょうし、顔認証とやらにも引っかかりそうもありませんでしたから。」
「……。」
悪魔って便利ね。と何度目かになるこのセリフをウリエは飲み込んだ。
一体悪魔とは何なのだろうか。と改めて疑問が湧く。
しかし、尋ねたところで非科学的な答えしか返ってこないのは目に見えていた。
「「義足の男」の尻尾が掴めないから、トーマスを徹底的に調べるしかなさそうね。」
「出生、経歴、その他もろもろすべてだな。」
「加えて、警察組織とRの欠けた団体とのつながりも欲しいわ。」
行き詰っていた捜査が一気に動き出した。
ようやく尻尾を掴める。
「義足の男」が父であるか確かめる事が出来る。
なぜ?どうして?ばかりが溜まり、溢れそうになっていたウリエの心に、少しだけ余裕が戻ってきた。