As well be hanged for .....
第14章 答えは甘美に 制裁は憧れに 前篇
「ロシア、ドイツ、アメリカその他もろもろ。爆発物に何か共通するような物はなかったと言うし、不審な人物は無し。参加者の中にも特にこれと言った人はいなかった。」
「素性を偽っている奴もいなかった。何日も前から計画されていたのか?」
「それもありえるわね。あのパーティーを狙ったとするなら、何カ月も前から決まっていた事だし。」
特定の参加者を狙った犯行、もしくはパーティーを狙った犯行。
爆破犯からのコンタクトも予告も一切無し、唐突に、ぽん!と爆破された。
しかしどうしても、この事件も「義足の男」の犯行かもしれない、と言う考えが拭いきれない。
数週間前、レオーネンの港のコンテナに武器がパンパンに詰まっていたのを、見てしまっているからだ。
映像が偽造された物だとしても、戦慄する物だ。
「ぼっちゃん。お嬢様。」
「何か見つけたか?」
「えぇ。やはり人影が。しかし、画像が粗いのでぼっちゃんに画像処理を頼みたいのですが。」
「あぁ、わかった。」
TIはセバスチャンの苦手な分野。
シエルはセバスチャンからの頼みごとにちょっと誇らしげな顔をする。
セバスチャンは、そんなシエルに苦笑いでハンドルを握ってアクセルを踏む。
「なんか、すっかりこの時代に馴染んじゃってる…。」
「時代に適応できなくて、なにがファントムハイヴ家当主だ。」
「お洋服は時代遅れだけれどね。」
「……機械音痴。」
「なによ、悪い?」
「いいや?別に。」
セバスチャンは公道に出ながら、どうして車が走り出すと喧嘩が始まるのだろう。と頭の中で論文を綴り始める。
そしてきっと、最後にはこう締めくくるのだろう。
喧嘩するほど仲がいい。と。