As well be hanged for .....
第14章 答えは甘美に 制裁は憧れに 前篇
「これは。また洗車ですね。」
「ふん。パパラッチとか言う奴は、品も礼もあったものじゃないな。」
「底意地が悪くないとパパラッチなんて出来ないわよ。」
シエルみたいにね。と先ほどの反撃なのかウリエがぽつりと呟く。
そんな言葉をシエルが拾わない訳がなく、車内でわんわん!と吠えたてる。
「…フフ。」
セバスチャンは二人を叱るべく息を吸ったのだが、苦笑いと共に吐き出した。
バックミラーに視線を向けた時、後続車両が中継車だったからだ。
その通りだな。と思わず笑いが漏れてしまった。
バッキンガム宮殿の中にはすんなりと入れた。
さすがは伯爵の爵位持ち。
ずっと後ろにつけて来ていた取材車両や取材陣は、衛兵の手でシャットアウト。
これで煩いのはいなくなった。
「付きました。」
扉を開けて、二人の降車を手伝い、いつものように一言添える。
既にお決まりのパターンだ。
「ニュースで見るよりだいぶひどいわね。」
「マスメディアは嘘がお好きだからな。」
「こんな血だまり、映す方がありえないわよ。」
爆破が起こったダンスホールだった場所は、小さな瓦礫やガラス片などは綺麗に片付き、遺体はすべて運び出されたものの、後は放ったらかし。
破壊されたホールの床に染み込んだ血が、足元を赤黒く塗りつぶしている。
復旧をする作業員はおらず、警備をする衛兵しかいない。
「どうして遅々として進まないんだ。」
「新しいホールの設計と、追悼に来る連中が悲しみに来るからでしょう?」
「ふん。馬鹿馬鹿しい。」
シエルはここで大けがをしたウリエを気遣い、彼女の側を歩く。
セバスチャンは、ちょっと離れたところで二人を見守り、辺りを警戒する。