As well be hanged for .....
第14章 答えは甘美に 制裁は憧れに 前篇
「母親が人質?」
「そうよ!まったく!酷いものよ、女王様ったら。貴女に仕方なく番犬として忠誠心を示したって言うのに、裏切られたら心配だからってお母様を人質にとる必要なんてあるの?!」
ぎゃんぎゃん!と一人で吠えたてるウリエの気持ちもわからなくもない。
が、死んだはずの父親が生きていて、街を汚しているのだから。
娘であるウリエが女王を裏切るかもしれないと言う、女王サイドの不安も理解できない訳でもない。
「もたもたしてられないわ!ただでさえ出遅れているのに、姉さまみたいにお母様まで薬漬にされては元も子もないわ!シエル!今すぐ「義足の男」を捕まえに行くわよ!」
「今すぐって…少しは見当ぐらいつけないと、無駄足だぞ。」
「港よ港!エドガーの港!」
「お嬢様。あそこはもう空だったではありませんか。」
「うぅう……。」
女王からのお達しは「義足の男」を捕えて、女王の面前に差し出す事。
それが叶わない場合は、ウリエの母の命はない。という。
既に、どちらが悪党かわからない内容だ。
ウリエの母を人質にとってまで、力のあるウリエが手放せないほど、女王サイドは切羽詰まっていると言う事なのだろうか。
しかし、憶測は憶測でしかない。
ウリエがすべきことは、女王の命に従い「義足の男」であるファシルを捕まえる事だ。
「…まずは爆発現場ね。もう片付けられているかもしれないけど。」
「いや、まだ手つかずだそうだ。」
「そうなの?」