As well be hanged for .....
第13章 閑話休題 2
「離れろ!触るな!」
ばし!と弟妹たちを払い、まだ震えている身体と頭でお金の使い道を考える。
家を買って家族と暮らす。
たくさんのご飯を買う。
弟妹たちにお小遣いをやる。
服を買う。
ママを喜ばせる。
「うぇぇええん!いたーい!」
妹の泣き声で、はっと我に帰るトーマス。
ごめん!としゃがんだ拍子に札束がドサリ。と地面に落ちた。
「え?おかね?」
弟の誰かがそう言った。
すると、葉っぱに夢中だった母親が、ぎょろりとこちらを振り返り、声を荒げる。
「買ってこい!今すぐ買ってこい!」
ぐしゃり!と汚い汚れた手で母親がお札を掴んだ。
その様子を見て、トーマスの脳裏に浮かんだのは、自分達の飯を買う金が。と言う一つだった。
「やめろ!これは葉っぱの金じゃない!!」
「あぁん!?口答えするんじゃねぇよ!」
「飯を買う金だ!」
「うるせぇ!」
トーマスと母親が大声を上げて札束を奪い合う。
いつの間にか帯が切れて、お札が一枚、また一枚。とひらりひらりと飛んでいく。
いつの間にか、浮浪者達が金の声を聞いて集まっていた。
「金だ。金だ。金だ。」
と声が聞こえた後には、何が何だか分からなくなっていた。
弟妹たちは押しつぶされ。
母親はいつの間にか人に流されて何処かへ行った。
トーマスは綺麗だった札束がバラバラになり、破れ、ちぎれ、無くなっていくのを茫然と見ている事しかできなかった。
いつの間に教会の茂みに戻ってきていたのだろう。
「どうした少年。」
はた。と気が付いた時には紳士の声が頭から降ってきていた。