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As well be hanged for .....

第13章 閑話休題 2




次の日は紙集めに勤しむ。
こちらは兄弟総出で取りかかる仕事だ。
運が良ければ読めそうな本が手に入る。

そして、今日は運が良かった。
まだまだ読めそうな本が手に入った。
トーマスはその本を手に、今日の仕事は終わり。と、弟妹たちに見つからないように、綺麗な教会の庭に忍び込み、藪の中で本を開く。

読めない文字も多い。
それでも、知らない知識を頭に入れるのは楽しい。

「おや。少年。君はここの庭師かい?」
「っ!!」

まずい!見つかった!と全身を強張らせ脱兎のごとく逃げようとしたが、声の主に本を奪われ思わず振り返った。

たっぷりのシルクを使った暖かそうなマント。
陶器の様な白い肌。
柔和に笑う瞳は深緑の森の様なグリーンで、額に掛かる前髪もビロードのような暗い緑色。

「て、てんしさまだ…」
「天使?私が?まさか!」

ははは。とゆったりと笑う様子から見ても、普通の人間じゃない事がトーマスにはわかった。

時折裏路地に来る、ガサツな少年たちとも違う。
一本向こうのストリートを歩くサラリーマンとも違う。
大きな荷物を持って歩く外国人とも違う。

まるで物語から出て来たような、本物の英国紳士だとトーマスは思った。


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