As well be hanged for .....
第12章 裏切りは手に 真実は足に 後編
自分だけが何も知らされず利用されているだけなのかもしれない。
自分だけが正しい道にいるのかもしれない。
たくさんに枝分かれした路地に一人きりで立たされているのだ。
すべて先が見えない真っ暗闇。
「シエル……どうしよう。」
ウリエはわかっている。
自分たち悪魔の力を借りれば、本当の事が何処にあるかなんて、立ちどころに明らかになるだろう。
しかし、その真実を知りたくないのだ。
何もかも投げ出して目を閉じてしまいたいはずだ。
「でも、今の番犬はお前だ。姉がどうであれ、父がどうであれ。フェンベルグ家の名を背負っているのはお前だ。」
止まる事は許されない。
ウリエ、お前は女王の番犬なのだから。
「全ての真実を知る覚悟を決めたと言ったお前の心は嘘だったのか?僕を呼んだ、あの強い思いは嘘だったと?」
「それは……」
いつも煌々と輝きを宿していたエメラルドグリーンの瞳に、輝きはない。
「ウリエ…僕は失望した。フェンベルグ伯爵家を継いだとはいえ、ただの小娘じゃないか。」
「っ!」
「ファントムハイヴ家の後を継いだ家がこんな腰抜けだったとは。」
「馬鹿にしないでっ!」
「なら胸を張って、一度決めた覚悟を最後まで付き通せ!」
ギラリと燃える色を取り戻したウリエの瞳。
貫くような瞳の輝きに、シエルの心が武者震いをする。