As well be hanged for .....
第12章 裏切りは手に 真実は足に 後編
「間違いなく、義足の男はお前の父親だ。」
「病院にあったお父様の血、殺害現場にあったお父様の血、義足の足、LUCIFA……Rの足りない天使の名前。」
はぁ。はぁ。と荒い息のまま床の一点を見つめ固まるウリエ。
しばらくして、大きく息を吸い、話始める。
「自分で献血した自分の血を病院から盗み、自分で足を切断して、死んだように見せかける細工をして………お父様は何がしたいの?」
ウリエは血の気の引いた顔でシエルを睨みつける。
シエルは自分に向けられたウリエの瞳が、女々しくか弱い少女のような目をしていなくてよかった。とホッとした。
ウリエは立ち上がり、デスクを挟みシエルの前に仁王立ちする。
「どうして、表の世界を汚すの?どうして無差別に人を殺すの?どうしてっ!」
ダン!と強く手を振り降ろす様は怒っているようにも見えるし、落胆しているようにも見えた。
「目的が見えない。どうであれお前の父親が義足の男とわかったんだ、女王に報告ぐらいした方がいい。」
「ダメ。」
「ん?」
俯いたままのウリエの表情はわからない。
「裏切ることになる。」
「……女王の番犬が表の世界を汚しているからか。」
「そう……でも、女王も信じられない。」
ウリエの姉、リエラの事だろう。
忠実なる番犬として、女王のいかなる障害を排除し、その命を女王に捧げるウリエ。
しかし、今その動かざる忠誠心が、自らの主の手によって揺らがされたのだ。
もしかしたら試練なのかもしれない。