As well be hanged for .....
第12章 裏切りは手に 真実は足に 後編
「う……い。」
「ウリエ?」
俯いてぶつぶつと何かを呟くウリエ。
そんな彼女の様子に気が付いて、シエルとセバスチャンは耳を立てる。
「う、れしい…」
「え?うれしい?」
「シエル…ありがとう!」
「うわっ!」
がばり!と突然シエルに飛び付くウリエ。
シエルは唐突な彼女の行動に耐えきれず、そのままベッドの下へウリエをくっつけたまま落下する。
ぎゅっとウリエを抱きしめ衝撃に備えたが、セバスチャンが間一髪二人を抱きとめてくれたようだった。
「ばか!危ないだろ!」
「ごめんなさい!でも、嬉しかったんだもの!シエル大好き!」
「うわ!やめろ!離れろ!」
セバスチャンの腕の中でじたばたと暴れるシエルとウリエ。
はぁ。とため息をついて二人をベッドに戻し、ティーの準備に戻る。
「お嬢様。あまり無茶をされますと、またベッドに張り付けになりますよ。」
「う。」
「そうだ。足は平気か?」
「うん。平気よ。」
経過は順調そうで、数日もすれば包帯が取れて立てるようになる。とウリエ。
しかしただ、跡は残る。とちょっと悔しそうな顔をする。
ウリエはよくひざ丈のスカートを好んで着ていた。
シエルは何度か、はしたないと注意をしたが、その度に時代遅れだの頭が固いだのとケンカになっていた事を思い出す。
「治ったら新しい服を買いに行こう。今までの服だと足が見えるだろうから。」
「今日のシエル随分優しいけれど、どうかしたの?」
「え?!いや!別に!け、怪我人には優しくするだろう!」
ふぅん。と疑いの視線をシエルに向けるウリエ。
慌てるシエルを見てクスクスと笑いが堪えられず漏れているセバスチャン。
今日だけは温かな一日になりそうだった。