As well be hanged for .....
第12章 裏切りは手に 真実は足に 後編
セバスチャンが出て行ってパタリと閉まった扉。
シエルは一人きりになった部屋で、輸血パックを入れて来たバックパックの底から小さな箱を取り出す。
綺麗に包装されているわけでもない、簡単にリボンが掛けられているだけの小箱。
こんな物を渡した所で彼女は喜ぶだろうか。
置いて来てしまった過去の婚約者には出来なかった事を、彼女にはしてやりたいと思う。
大切な人を無くしていく彼女の側に、自分に縛り付けてでも側にいてやりたい。
そもそも、もう見逃してやろうなんて思っていない。
契約は契約。
ウリエの魂はシエルの物。
シエルは小箱をポケットにねじ込み、隠すことなく音を立てて部屋を後にし、ウリエの部屋の扉をノックする。
「はい?」
「僕だ、シエルだ。」
「シエル!」
ウリエの大きな声が聞こえて、次に、どたん!と何かが落ちる音が聞こえ慌てて部屋に飛び込んだ。
ベッドの下に彼女が落下していて、痛々しい包帯をぐるぐると巻いた両足をさすっていた。
「何してるんだ。」
「足の事すっかり忘れちゃって。」
力の入らない痛む足の事を忘れていつものように立ち上がろうとしたそうだ。
シエルはウリエをベッドに座らせ、自分も彼女の横に腰掛ける。
意外にもウリエは元気そうで、シエルは少し安心した。