As well be hanged for .....
第12章 裏切りは手に 真実は足に 後編
「同じ…だと思いますよ。現代の科学はとても進歩していますからね。もしかしたら作られた味や匂いの可能性もあります。」
「と思って名前の入っていない物も持ってきた。確かめろ。」
「まったく……」
やはり、彼女の父の名前が書かれた物はシエルが持ってきた物と、ウリエの献血に使った物は同一で、名前の入っていない物は複数の人物の血が混ぜて作られている事が判明する。
ファシル・フェンベルグの名前の物は、純粋に彼の血のみで作られている物だ。
「精製前の物もだいぶ蓄えられていた。ちゃんと温度管理もされている専用の冷蔵庫でな。」
「……では、ぼっちゃんの推察どおりかもしれませんね。」
「嫌な事実だ。」
彼女にはどう伝えるおつもりですか?とセバスチャンがデスクの上を片づけながら問う。
シエルはその質問にすぐには答える事が出来なかった。
ストレートに伝えて、「義足の男」が父であると断言してしまう方がいいのか。
かもしれない。と臭わせておいて、出来れば「義足の男」が捕まるまで伏せておくのか。
彼女の心が壊れてしまわないか心配でならない。
「もう少し考える。ウリエには言うな。」
「かしこまりました。」
しかしなぜ、彼女の父親は、自分を殺してまでもあんなことをしているのかが理解できない。
ただ、問題はこの事ばかりではない。
今回の爆破事件の事だ。
警察が原因や犯人を調べていると言うが、一向に何も上がってきてはいない。
ウリエには悪いと思ったが、勝手にエドガーと連絡を取らせてもらった。
どうにも、この爆破事件は「義足の男」が関わっている気がしてならない。
何が目的なのか。
「あぁ。ぼっちゃん。お嬢様がお見舞いに来て欲しいそうですよ?」
「ん。」
「ご朝食も途中で放り出されて。心配していましたよ。」
シエルはぎゅっと眉間に皺を寄せ難しい顔になる。
きっと、また守れなかった事で合わせる顔がないと思っているのだろう。とセバスチャンは考える。