As well be hanged for .....
第12章 裏切りは手に 真実は足に 後編
セバスチャンがシエルの残した朝食を片付けるのを見ながら、ウリエはきちんと残さず朝食を食べる。
「ねぇ、セバス。」
「はい。お嬢様。」
「シエルは?」
「書斎にいるのではないでしょうか?」
「そう。」
ウリエは今、一人では動けない。
ダイニングのイスの上、紅茶で唇を湿らせている。
シエルはきっと書斎にいる。
会いたい。
パーティーの時、お揃いにした衣装がとても素敵だった事。
爆発から私を守ろうとしてくれた事。
ちゃんと伝えたいだけなのに。
「シエル…。」
ダイニングでため息をつくウリエを、セバスチャンはそっと見守るだけ。
主人の命で今、彼女をシエルに合わせる事は出来ない。
当のシエルはここにはいない。
慣れない力を使って大人になり澄まし、調べに外へ出ている。
自分に任せればいいのに。とにやける口元を手で押さえつけ、ウリエをベッドに戻すべく姿を現す。
「お嬢様。そろそろお部屋に戻りましょう。ぼっちゃんには、お時間が出来たら貴女の所へ行くように伝えますよ。」
「うん…わかったわ。」
あからさまな落胆に、彼女がシエルの事をただの契約悪魔として見ていないことぐらい、悪魔のセバスチャンにも分かる。
惹かれあう。と言う事の意味がいまいち掴めない。
猫への愛と似たような物なのだろうか。とセバスチャンは腕の中の彼女を猫にたとえてもう一度考え直す。
さもありなん。
「では、体力を取り戻すためにしっかりと眠って下さいね。」
「はーい。」
ただ。
猫は喋らない。
パタリと締めた扉の向こうでは、大きなため息が聞こえた。