As well be hanged for .....
第12章 裏切りは手に 真実は足に 後編
いい匂いだった。
強くて甘い、これほどに食欲をそそる匂いなんか無い。と言いきれるほどにいい匂い。
でも、今じゃどうだ。
ふらふらと安定せず、匂いも薄れ、興味を無くしそうなものだ。
でも、繋いだ手から感じるのは温かいぬくもりで。
人間だった時は掴み損ねた、婚約者の手に似ている。
今でもありありと思い出す事が出来る過去の事。
「……。」
シエルの手をきゅっと握ったまま眠るウリエ。
側に…。
「ずっと」
我がまま?
いいや。彼女もそう思っているはずだ。
そう、強く言い聞かせていないと、この関係を終わらせたくなる。
何もかもなかったことにして、彼女の望みを叶えることなく、自分の糧にしたい。
「僕の物だ。」
支配、占領、独占。
誰にも渡したくない自分だけのおもちゃ。
「誰にも渡せない。」
まだ見た事のない彼女の未来も。
「僕の物だ。」