As well be hanged for .....
第12章 裏切りは手に 真実は足に 後編
もう、怪我をしたところは痛くない。
血も止まっているし、治っている。
化け物だ。
彼女とは違う。
体に付いた血を拭い、着替えを済ませ、ウリエとお揃いのサマーカーディガンを手に、セバスチャンがウリエの治療をしているダイニングへ向かう。
「どうだ?」
「えぇ。落ち着きました。」
背中を怪我しているため、横向きに寝かされ白いシーツをかけられている彼女。
足は焼けただれ、治っても跡が残りそうだ。
背中と腕は深い切り傷と打撲だとセバスチャンは言う。
テーブルの下に、彼女が一生懸命に考えて仕立てたマリンカラーのドレスが、血にまみれ焼けて破れ、同じドレスとは思えない物が無残に置かれていた。
「お嬢様はこちらを大層気にいっていらっしゃいましたね。」
「……セバスチャン。これと僕のを元通りに直しておけ。」
「はい、かしこまりました。」
ガサガサとドレスを持っていくセバスチャン。
部屋に立ちこめていた瓦礫と血の匂いが無くなった。
ただ気を失って寝ているのか、何か薬を飲んだのかわからないが、昏々と眠るウリエ。
顔に怪我をしなかったのが不幸中の幸いかもしれない。
シーツからはみ出た輸血を施されている最中の腕、血が流れていくチューブの先には輸血用のパック。
病院の名前と、血液型、精製日時、と……