As well be hanged for .....
第12章 裏切りは手に 真実は足に 後編
バッキンガム宮殿での爆破事件に巻き込まれたウリエとシエル。
ウリエは大けがを負い、シエルと共にセバスチャンに屋敷に運ばれた。
タウンハウスに戻ったセバスチャンは、ダイニングテーブルに白い布を敷き簡易のベッドを作り上げる。
その間も、セバスチャンの腕の中のウリエの出血は止まらず、ここに来るまでに点々と跡を付けて来ている。
ウリエの顔は血の気がなく蒼白。
シエルはうろたえ、セバスチャンの指示に従って、ウリエの腕の出血を手で押さえているのが精いっぱいだった。
「まずいですね。輸血をしないと手遅れになってしまうかもしれません。」
「僕らの血でなんとかする事は出来ないのか!」
「それは無理です。悪魔の血は人間には合わないでしょう。」
セバスチャン、は仰向けに寝ているウリエの身体を、横に向かせシエルに押さえてもらい、このままの体制をキープさせる。
セバスチャンは手袋を脱いで、じわじわと血がにじみ出ている背中の傷に指をつっこみ、ウリエの血が付いた指を舐める。
「ぼっちゃん。お嬢様に何か変化があったらすぐに呼んでください。私は今から彼女の血液型にあった輸血用の血を持ってきます。」
「あぁ。急げ。」
この場を飛び出し、最寄りの病院へ忍び込む。
バッキンガム宮殿の爆発でここの病院もてんてこ舞い。
特に忍び込む必要はなかったかもしれない。
ちょっと医者に変装して、慌てる様子で輸血用の血が保管してある所へ駆けこめば、ナースが必要な血液を出してくれた。
「こちらです!」
「ありがとうございます。」
受け取った血液には、大きく血液型と精製された日時が書いてある。
たっぷりと二袋。
ウリエと同じ血液型で間違いない事を確認し、輸血や治療に必要そうなものをちょっと拝借してとんぼ返り。
耳には、シエルがウリエの名前を呼ぶ声がこだましている。
「戻りました。」
テキパキと輸血の準備を整え、ウリエの怪我の手当ても同時に進める。
シエルは、自分には手伝える事はなさそうだ。とボロボロになってしまったタキシードを着替えるため一人自室へ向かう。