As well be hanged for .....
第11章 裏切りは手に 真実は足に 前篇
ジャッジャン!と唐突に始まった音楽。
ダンスの合図だ。
「ワルツね。シエル。」
「う…。」
「大丈夫よ、練習したでしょ?」
セバスチャンにもしごかれたんだもの。とウリエはシエルの手を引く。
シエルは覚悟を決め、優雅にワルツを踊る人の群れに飛び込んだ。
ウリエはドレスを仕立てるにあたって、ダンスを踊る時、クルリと回ってふわっと広がるスカート部にこだわり、仕立屋を困らせていた。
しかし、そのかいあってか、くるりくるりとウリエが回る度、押しては引く波のようにドレープのスカートがふわりふわりと広がる。
だからどうしてもシエルにはダンスを習得してもらわなければならなかったのだ。
「ウリエ、休むぞ。」
ワルツ、円舞曲、ワルツ。と三曲。
ぶっ続けで踊っているウリエとシエル、シエルは三曲目のワルツが終わるとすかさず休憩を申し出て、ウリエを引っ張ってダンスの輪を抜け出す。
文句を言うウリエにレモネードを押しつけ黙らせる。
はぁ…。と大きなため息を付くシエルに、少しでもダンスを楽しめて上機嫌のウリエ。
「ん。そう言えば彼女は来ないのかしら。」
「…女王か。」
きょろきょろと辺りを見回すが、二人よりも背の高い大人ばかりで確認できる訳もない。
いくら背を偽っているというシエルだって、ウリエに合わせた身長ぐらいに伸ばしているだけであって、周りの大人からすればまだまだ子供サイズだ。
「まぁ、現れればそれなりに騒がしくなるだろう。」
「そう」