As well be hanged for .....
第11章 裏切りは手に 真実は足に 前篇
ギラギラギトギトしたドレス、ドシンプルに一色のドレス、まるで結婚式のお色直しかと思う動きにくそうなプリンセスドレス。
モーニングや派手な色を使ったスーツ、真っ白なタキシードや、シンプルなダークのテールコート。
自己主張の強い貴族や金持ちばかり。
なかでも、ウリエとシエルは注目の的になった。
なかなか男女で衣装を揃えて現れるペアは少ない。
ペアで来ていても基本は女性ばかりが目立つペアばかり。
ウリエはもちろんだが、シエルが女性に偏る飾りやシーカラーのドレスアップで他の男性を突き放している。
「ねぇ、シエル。身長が高いのは靴?」
「いや。身長を伸ばした。」
「伸ばした?」
ウリエは隣で自分をエスコートするシエルの顔を見上げて不思議に思う。
ざっくりと、伸ばした。と言うシエルに、ウリエの視線はつい足元に行ってしまう。
シークレットブーツで身長を上げているのではないか、と。
「靴じゃない。僕は悪魔だ。力を使った。」
シエルはウリエの探るような視線に、彼女の耳元に口を寄せ教える。
すると、彼女もシエルの耳に口を寄せてくる。
「悪魔って魔法も使えるの?」
ちょっとだけ背伸びをして、こそこそと耳元で話す彼女の声に緊張する。
シエルは声を出さず、彼女の問いにコクコクと頷いて返した。
自分の左腕に優しく絡んでいるウリエの右腕、この緊張が伝わっていやしないかと余計な緊張がせり上がってくる。
ウリエは顔見知りの人たちや、爵位持ちのウリエに手もみをして擦りよってくる貴族の対応に追われていて、忙しそうにしている。
たぶん、気が付いていないだろう。