As well be hanged for .....
第11章 裏切りは手に 真実は足に 前篇
「わ!シエル!」
「ふん。お前だって十分子供みたいに溜めこんで。相談ぐらい乗る。」
シエルはウリエの乱れた前髪を整えて笑う。
「そういう時ばっかり、大人面する…。」
「僕はお前よりオトナだ。」
「あっそ。」
ウリエは、クスクスと自分を見て笑うシエルの手からタオルを奪い取り、起き上がる。
ちょっと乱暴にハーブティーに口を付け、一息付く。
「それで?ウリエ。そのパーティーとやらはパートナー同伴では行けないのか?」
「え?」
「女王が来るかもしれない。とか言うパーティー。」
タルトを置きに来たセバスチャンにシエルが、僕の分の服も準備するよう言っておけ。と言う。
ウリエは、急に素直にパーティーに行くと言いだしたシエルに、もしかして熱でもあるんじゃないのか?とその顔を見つめてしまった。
「なんだ。来て欲しくないのか。」
「ううん!一緒に行って欲しい。でも…」
「でも、なんだ。」
いつもと違って、優しく微笑んでいるようにも見えるシエルにウリエは、どうして?の言葉を飲み込んだ。
聞きたい。どうして、掌を返したようにパーティーに行くと言いだしたのか。
なぜ、自分のパートナーとしてパーティーに行くと言ったのか。
なぜ、私に向かって優しく微笑んでいるのか。
言葉は喉まで出かかっているのに、そこまで来ると急に言葉が熱くなり大きくなって喉に閊える。
そして、思ってもいない言葉に変換されて出てくる。
「ううん。なんでもないわ。」
本当は「ありがとう」の一言が言いたいだけなのに。
素直になれればいいのに。