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及川徹に抱かれたい

第3章 抗戦



顔の湿布がスースーして涙が出てくる

涙は大粒となって止めどなく流れてくる

「ごめんっなっさいっ、わっわたし…ぐずっ」
「泣くつもりなんっかっ…なかったっのにっ……ぐすっ」

どうしても我慢できなかった

わたしのせいでトオル先輩が気負いしてしまっていたら?

トオル先輩は優しいから、きっと自分を責めると思う


短い間だったけど、トオル先輩の
底抜けの優しさと誠実さを知ってしまったから

今頃、どうしてるんだろう

気になって仕方ない


岩ちゃん先輩はわたしの考えを見抜いたかのように

「大丈夫だ…」と何度も繰り返し
わたしの頭をポンポンと撫でた

(ここまで、あいつのことわかってくれるヤツがいるとはな)

「余計な事は考えなくていい」
「それより、自分の傷を癒す事を第一に考えろ」

「明日は学校くんのか?」


「……ん、迷ってます」
「この顔でトオル先輩に会えない」
「余計、気負いさせちゃうかもしれない」


「じゃ、学校来るなら連絡しろ」
「迎えに来るからよ」


「え、そんな悪いです!」


「そんな顔しても説得力ねぇぞ」
と言って、ジャージでわたしの涙を拭ってくれた



「じゃあな!」と走って去っていく
岩ちゃん先輩の背中を見送り
少しだけ元気が湧いてきた


家に入り、自分の部屋のベッドにダイブする

そしてまた不安が込み上げてくる

でも、トオル先輩のためにも
負けてられないと強く思う

「メール…してみようかな……」


{お疲れ様です。です。}
{今日はご心配をおかけしてすみません。}
{岩ちゃん先輩に送ってもらい家に着きました}
{先輩に、会いたいです…}
{それでは、また明日}

よし、やっぱり明日も学校に行く

(トオル先輩と話し合って)
(守るために、あんなやつらに屈した方がいいのか)
(トオル先輩はどうしたいのか知りたい…)
(だから、とりあえず話したい…)

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