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及川徹に抱かれたい

第3章 抗戦



及川side


3年の廊下がやけに騒がしいなと思って出ると
どうやら女子トイレで喧嘩があったらしい

岩ちゃんに「また1年のとこか?」と聞かれ頷く

いつものようにちゃんを迎えに行こうと
トイレの前を通り過ぎると


周りの男子が「1年の女子がなんでこんなとこに?」
「ボコボコらしいぜ」「あの及川の取り巻きたちの仕業らしい」と
話しているのを聞いて、頭が真っ白になった


急いで、人混みを掻き分け
女子トイレに入る

女の子たちが驚きの声をあげるが耳には入ってこない

それよりも水に濡れて横たわったが
顔や身体にアザをつくって、口や鼻から血が出ているのを
目の当たりにすると少し身体が震えた

急いでを抱き上げ保健室へ向かう

先生に着替えさせてもらって
傷の消毒やガーゼなどを当てて
ベッドに寝かせる

意識はないが、寝かせておけば大丈夫と
先生が言うので ようやく気持ちが落ち着いた


先生が「未だこんなイジメがあるのね」
「本当に酷いわぁ」と呟く


「……俺のせいなんです」


「いいえ、君が自分を責める必要はないわ」


「でも……」
「俺、許せません……」


「君はバレー部の主将なんでしょう?」
「君が動けば、バレー部のみんなに迷惑をかけることになるわ」
「よく考えなさい」

「はい……ありがとうございます」
「先生、俺が来たことは内緒でお願いしますね」

「はいはい」と先生はため息まじりに返事をし
また机に向かって作業をし始める

俺は「失礼しました」と
保健室を出て体育館へ向かう


(情けない、自分の大切な子を)
(自分の手で守れないなんて)

扉を開けると岩ちゃんが察したように
バシッと背中を叩きに来た

「大体、話は聞いたぜ」
「どうすんだ」

「俺が、女の子たちに言えば収まるのかな」
「今の俺は女の子たちに酷いことしか出来ない」
「それこそバレー部には迷惑かけたくないし」

本当に何が最善なのかわからない
うだうだ悩んでいると


「フンッ」ごつん!

「いだッ!」
「こんな時まで岩ちゃん酷いよォ」

「1年の子が好きなら守ってやれ」
「おまえ男だろ」

大真面目な顔で俺の顔を見る
真っ直ぐな瞳に「やれやれ…」とため息が出る


(…………まったく)
(こんな時までかっこいいんだから)



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