第2章 出会い
下駄箱のロッカーに全て教科書を入れ
及川先輩にお礼を言って
「では。」と歩き出そうとすると
「ねぇ、今日これから付き合ってくれない☆?」
「どうしても行きたいとこあってさ」
は弾んだ心臓を抑えて冷静になって答える
「手伝ってくださったことには」
「感謝していますが、お断りします」
と、返事も聞かずに歩き出すと
ふわっ
・・・わッ//////
後ろから抱きつかれる
わたしの肩に先輩の顔をグイッとうずめてくる
「俺のこと、そんなに嫌い…?」
「嫌いとかそんなんじゃないです」
「わたしじゃなくても他にいるじゃないですか」
「ちがうよ、と行きたい」
………ッ//////
そんな甘えた声でわたしを呼び捨てにして
頭が麻痺しはじめ、正常な判断が出来なくなる
ドンッ
「やめてくださいっ」
先輩を突き放す
なぜか、涙ぐんでしまう
(他の子みたいに簡単に着いて行くと思われたくない)
(期待だけ持たされるなんて嫌だ、傷付きたくないっ)
「なんで、泣きそうなの」
「…そんなに…嫌だった?」
「…やっぱり俺の好意には信憑性がないか」
「……ごめんね、抱きついて」
及川先輩の言葉はどんどん小さくなり
最後は聞こえなかった
けれど、心なしか先輩が小さく見える
(なんでそんなに哀しそうなの)
(わたし、傷付けちゃったの…?)
そう思うと身体が勝手に及川先輩の
袖のシャツをギュッと掴んでいた
はうつむきながらも
「ちがいます、そんなつもりでゆったんじゃない」
「確かにまだ信じられないし」
「どうゆう人なのかわかんないから恐いだけで…」
「ごめんなさい、このまま先輩を知っていって」
「いつか自分が傷付くのが恐かったんです」
一生懸命、正直に自分の気持ちを伝える
なかなか返事が返ってこなくて
心配になって先輩の顔を覗き込む
・・・っ//////
及川先輩は腕で口を抑えていたが
耳まで真っ赤に染まっていた
自分がどれだけ恥ずかしいことを言ったか思い知る
「すみません!忘れてください!」
(どうしよう!告白したようなもんだよ!)
(未来形の「好き」って言ったようなもんだよね!)
どうしようもない焦りと不安がよぎる