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及川徹に抱かれたい

第2章 出会い



退屈でしかない入学式をうとうとしながら
終えたは とぼとぼ教室に戻る

席に着くと、窓からすぅ~っと
やさしい春風が吹き抜ける...

(気持ちいいなぁ)

窓から見える中庭には
きゃっ!きゃっ!と女の子たちが
及川先輩の周りを囲って幸せそうにはしゃいでいる

(絶対チャラいし、自信家!)
(わたしとは真逆だから苦手)

そして、イケメンは信じない。という信条を
本日をもって心に刻むのであった


予鈴が鳴り、取り巻き隊がバラバラに
退散していく様子を見ると
なんだかホッとする自分がいる…

(なんだろ、この安堵感は?)

そんな疑問について考えていると


!!!


及川先輩が中庭からこちらを見ている


(え、見てるのバレた!?)
ドキッと胸が跳ねる


及川先輩は片方の口角をニッとあげて
わたしに手を振って去っていく

(わ、わたしが見てるのずっとわかってたんだ!)
(すっごい恥ずかしい!!)

羞恥心からなのか わたしの身体は熱くなり
ほんのり額に汗ばんだ


なんだか手のひらに乗せられているようで
特別視されてるようで

くやしいのに、逆らえない
これ以上近寄らないでほしいのに
もっと知りたいと思ってしまう




キーンコーンカーンコーン


HR終了のチャイムが鳴る

今日は、入学式のため午前中で学校は終わり

たくさん配られた教科書が重たいので
下駄箱にあるロッカーに入れることに


周りはすでにグループができており
完全にアウェイで、自分から入る勇気はない

(ひとりで下まで行くのかぁ、寂しい…)

下駄箱まで、とぼとぼ向かっていると
また黄色い声が聞こえる

(またか。)

白々しく横を通り抜けようとすると
横から腕が重なる…


「持つよ☆」

わたしから教科書をヒョイっとすくい取る

「わあっ!ちょっと及川先輩!返してください!」

及川先輩から奪い返そうとするが
教科書たちはビクとも動かない…

「ロッカーに入れるの☆?」
「及川さんが一緒に行ってあげよう〜☆」

「結構です!」
グッと及川さんの腕を引っ張る

(わっ見た目より筋肉すごいある…)

「だめだよ☆」
「どうせ、まだ友達いないんでしょ?☆」

図星をつかれ、グーの音もでない…

小さく頷くと、「ほら行くよ☆」と
わたしを下駄箱まで連れて行ってくれたのだった

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