第2章 目覚め
風間隊全員で、合図なしに走りこむ
…正直、木虎ちゃんは個人的にも仲が良いから争いたくなかったが、風間さんの方が優先度は高かった
風間さんがスコーピオンを出すと警戒して銃撃が風間さんへと集中する
その隙をついて遼が迅さんに斬りかかるが、勿論迅さんの方が強い
あっという間に肩をやられてしまう
座り込んだ遼と迅さんの間に太刀川さんが飛び込む
確か二人の個人戦では、太刀川さんの方が強かったはずだ
少しの隙をついて当真さんが攻撃するのが定石だが、廃棄区画とはいえ住宅地だ…射線は通りにくいだろう
そんなことをしているうちに、相手はビルの裏に逃げてしまった
「4人まとめて動かれると面倒だなぁ…」
「しかも迅はまだ風刃を一発も打っていない…トリオンを温存するつもりだ」
「後手後手だな…嵐山隊の狙撃手はどこだ?こっちの動きは予測されているはず…」
作戦会議をしていると、士郎がこの間に黒トリガー奪取に向かうべきだと提案するが、風間さんが小南さん達の事を考え戦力の分散を避けるべきだと考えた
士郎は素直に了解すると、太刀川さんが人員を配置していく
太刀川さん、風間隊、狙撃手で迅さんを
出水さん、三輪隊で嵐山隊の足止めに
合図で二手に分かれると、遠くの方で迅さんが一人屋根から屋根へと飛び移るのが見えた
「やっぱり俺の相手はあんた達なんだな」
「やっぱりって…未来視で視えていたんだろ?」
太刀川さんが弧月で迅さんに斬りかかり、迅さんがよろけるとすかさず風間さんが斬りこむ
入り込む隙がないように見えるが、私も風間隊の一員…スコーピオンを起動して士郎や遼と同様に構える
迅さんは下がると同時に士郎の肩に斬りこんだ
「どんどん下がりますね、ブラックトリガーの癖に」
「包囲されない為には必要な行為だろう…突出するなよ、浮いた駒は食われるぞ」
風間さんがいうほどだ…相当集中せねばならないだろう
遼が警戒区域外に出ることを心配するが、市民の安全を守る忍田派もいる中でそれはありえないと太刀川さんが言い切った
「士郎、無駄に傷増えてない?余所見でもしちゃった?」
「黙れよ攻撃しない癖に、どうせ風刃待ってるんだろ?」
「当たり前じゃん、せめてそれまでは壁になってよね」