第2章 目覚め
戦闘をいつでもできるように少し構えつつ、風間さん達のやり取りを聞く
黒トリガーは人の命と引き換えにできたトリガーだ、クガユウマにとっても例外ではないだろう
しかし、だからといって任務を放棄するようなことはできない…勿論同情もするが、ここはあちらの世界ではないのだ
迅さんがいくら黒トリガーの使い手だとはいえ、黒トリガーに対抗できる力があると認められたのが遠征部隊…つまり私達だ
「さすがに遠征部隊に三輪隊…それに黒トリガーを持ってる琥珀ちゃんまでいる。いいとこ五分ってとこだろう」
どうやら私は黒トリガーを使っても勝てないと想定されているらしい、悔しいが勝ったことがないのも事実だった
そのとき、迅さんが笑うと同時に視界の隅に赤い影が見えた
「前方左方向!屋根の上に嵐山隊がいます!!」
「何…!?」
屋根で直前まで見つけられなかった…これも私がいると迅さんがわかっていたからだろう
「嵐山隊、現着した!忍田本部長の命により、玉狛に加勢する!」
「嵐山隊…」
忍田本部長が玉狛と手を組んだのは明らかだった
嵐山さん、木虎ちゃんに充…それに、どこかに佐鳥もいるのだろうが、屋根が邪魔で視界が狭すぎた
「嵐山達がいれば、ハッキリ言えばこっちが勝つよ?俺のサイドエフェクトがそう言ってる」
この状況は未来視で視えていたのだろう…私の能力が無力化されていたのだ
太刀川さんは、久々の本気の迅さんに喜びを感じているようだ
「面白い…お前の予知を覆したくなった!」
太刀川さんが抜刀すると同時に、全員が戦闘態勢へと移行する
お互いに間合いをとると、開けた空間にピリッと肌に刺さるような冷たい風が私達をすり抜けていく