第9章 合流と未来への選択
後ろでエスクードが建つ音を聞く辺り、遊真と迅さんであの人型達を足止めするのだろう
「京介、もしかしたら本部が襲撃されてる可能性があるの。隊室にも作戦本部にも通信が繋がらない、それでもC級を連れて行くの?」
「あぁ、他に安全な場所がないからな。それに迅さんが指示したって事は、理由があるはずだ」
「なるほどね、了解。私も迅さんに修と千佳を全力で守れって言われたからね…命に代えてでも守るよ」
そう京介と修に笑いかけると、京介は迅さんの話を聞いたらしく頷いたが、修は不安そうに下を向いた
「…僕と千佳が危険なときは、千佳を守ってください」
「それはできないお願いだね」
「でも!千佳は敵に狙われているんですよ!?敵の思うつぼです!」
必死に私に千佳を守るように言う修は、どこか自分の体をないがしろにしているように感じた
それじゃあ迅さんの言う一つの未来、修の死に繋がるのではないだろうか
「修は千佳を全力守って。それさえしていれば私は二人まとめて守れるから…そのためのブラックトリガーだよ」
修が何か言おうとするが、歌歩ちゃんから連絡が入る
『琥珀ちゃん聞こえる?』
『歌歩ちゃん、無事だったんだね。よかった…本部と通信取れなかったけど何があったの?』
『さっきまで戦ってた人型が本部基地に侵入したの、それで通信が妨害されていたみたい…基地も閉まってるわ』
『そんな…!!』
奴の能力は液体化することと"何か"
何かはわからないが、液体化があれば確かに基地への侵入は簡単だ
私があの時仕留めておけば…!!!
『宇佐美から話は聞いた、お前は引き続きC級達の護衛を続けろ。人型は諏訪隊と風間隊でどうにかする』
『風間さん…了解です!』
『お前に一つ聞きたい事がある、俺の体内に奴のトリガーが発生する直前、"何か視えた"か?』
そう言われ、風間さんと敵の周りにモヤが視えた事を思い出す
『はい、ほんの少し黒い霧みたいなモヤが…』
『…やはりな、わかった。これで奴を倒せるかもしれない。よく気付いてくれた』
『風間さんのためならなんでもできます!!』
『その意気でC級も守り抜け』
『はい!』
最後に激励を貰い、俄然やる気が出てきた私は改めて自分の任務の重要さについ笑みが零れた