第2章 目覚め
久々の本部は、夜ということもあって少し閑散としていた
せっかくなら仲の良い人たちに会いたかったものだけれど、普段の任務や私生活もあるから仕方ないだろう
「やっぱり久々の本部はいいねぇ明るくて清潔!」
「清潔とは言い難い琥珀には、似合わないよねぇ」
「本当に一言多いなぁもう!」
「お前らもう静かにしとけよ…もう司令室だぞ」
遼に言われて前を向けば、前を歩いていた太刀川さん達が扉の前で立ち止まっていた
流石に私も士郎も物事の分別はつくし、切り替えは早い方だと自負している
黙って司令室に入ると、城戸司令達…いわゆるボーダー幹部が座って待ち構えていた
「遠征からの無事の帰還、ご苦労だった。最精鋭部隊よ」
そう言う城戸司令に、風間さんが向こう側で手に入れた未知のトリガーを提出すると、鬼怒田さんが解析するとのことで嬉しそうにしていた
「帰ってきて早速ではあるが、お前達にはブラックトリガーを回収してもらう」
黒トリガーと言えば、普通のトリガーの数倍の力が出せるとも言われているトリガーだ
私も所持しているが、この説明はいずれしようと思う
三輪隊の奈良坂さんが説明してくれたことをまとめるとこうだ
ネイバーと名乗る「クガユウマ」という少年が黒トリガーを所持
その黒トリガーは敵の攻撃を学習し、自分の物にすることができるらしい
そして玉狛支部に身を置き、迅さんから玉狛でボーダーに入隊させたいと進言がきたそうだ
しかし、本部としては派閥とかの関係で力の差を覆されないために、黒トリガーの奪取が必要…らしい
指揮はA級1位隊長の太刀川さんが担当するそうだ、これなら少し安心
「今夜にしよう、早いほうがいいだろう」
様子を見てから…との意見もあったが、この間にも黒トリガー使いが玉狛の技術を学習している可能性も考え襲撃は今夜となったようだ
玉狛は精鋭揃い…私も頑張らなきゃ、と思っていたとき司令が口を開いた
「奏多、お前の黒トリガーは…」
「分かっています城戸司令、あくまで緊急事態時のみ発動…ですよね?」
「いや…迅が風刃を使ったときは、使用を許可しよう」
「…了解しました」
こんなにもあっさり黒トリガーを使う許可が降りてくるとは思わず、より一層任務への緊張感が高まった
…一体どんな相手なんだろう?