第2章 目覚め
「起きろよ、馬鹿」
唐突に気持ちよく寝ていた頭をぐわんぐわんと揺らされ起きると、目の前には見慣れた顔がいた
「おはよ、士郎」
「おはよ、じゃないでしょ全く…アホ面を目の前で見させられる僕の気持ちにもなってくんない?ヨダレついてる」
「あ、アホ面ってなによ!遠征艇が暇すぎるから寝てただけだしっ……ヨダレどこ?ここ?」
ごしごしと口元をぬぐうと、遼に苦笑いされながらハンカチを渡された
いつもこいつは優しいのだ
「ありがとう、遼。士郎!なにその顔…むかつくんだけど」
「ごめんごめん、呆れてたのが顔に出ちゃったみたい」
「きぃぃ…むかつく!!」
一発そのすまし顔にこぶしを入れてやろうと構えると、大好きな声が聞こえた
「お前ら降りるぞ。琥珀、暴れるな」
「はい、風間さん!申し訳ありませんでした!!」
「わかってますよ、こいつが絡んでくるんですって」
「はぁ!?なんでアンタみたいなのに絡まなきゃいけないわけ!?風間さんも何か言ってくださいよぉ」
「菊地原、一々喧嘩を売るな。それに琥珀、任務中は極力寝るな…行くぞ」
「ごめんなさい…」
結局私まであの風間さんに怒られてしまったではないか、という思いを込めて士郎を睨むがそっぽを向かれてしまった…本当にむかつく
「おはよう琥珀ちゃん、楽しい夢でも見てたの~?すんごい楽しそうな顔してたよ」
「えへへー出水さんそれ聞いちゃいます?風間さんに初めて会ったときの夢ですよ!そりゃあもうかっこよかったんですから!!」
「おうおう相変わらずの風間バカだな」
「なんと言われようと風間さんへの愛は揺らぎませんよっ!」
先ほどまで怒っていた顔が一転
にへらぁ…とだらしない顔つきで笑うと、出水さんは「はいはい、わかりましたよ」なんて苦笑いしてきた。
何を隠そう、私は風間さんに命を救われた上に訓練生ながら風間隊にスカウトされてここまで上がってきたのだ
つまり、今日の私がいるのはすべて風間さんのおかげ
すなわち、この力は風間さんのために使うべきなのだ
「このまま城戸司令の元へ呼び出しがかかっている、急げ」
風間さんの一声がかかれば、私はそのまま走って風間さんの後ろにひっつく
そのまま久々の本部へと足を運ぶのだった