第6章 真昼の夜
見たことのない人たちの姿に唖然として、どれ位時間が経っただろう?
よく見れば、その人達の頭には角が生えていた
なんで脳裏でそんな光景が出てきたのか、理解できず不安になる
すると、唐突に頭に激痛がはしった
「い゛……っ!!」
「いい加減ボーッとする癖やめてくんない?新型が突進して来たらどうすんの」
「え?士郎?」
「琥珀、大丈夫か?いくら名前を呼んでも返事がないから心配したんだぞ」
どうやら私は、新型と目を合わせたままボーッとしているように見えたらしい
いつの間にか脳裏に映った不思議な光景は、消えており私は数秒の出来事に混乱した
「あれ?今角が生えた人が輪になって座ってて…あれ?」
「はぁ?もうちょっと面白い冗談言ってよ、面白くもなんともないんだけど」
「アイツ見てたらなんか…見たことない人たちが…?」
「琥珀、混乱しているようだが構っている暇はない、今は戦いに集中しろ」
私の動揺が士郎にも伝わったらしく、士郎も言葉とは裏腹に少し動揺がうつったようだった
その様子を見て、風間さんは冷静に私の目を覚ました
…確かにそうだ、私は初めて体験した得体の知れない物に戸惑っている
しかし、戸惑っている間にも街の人や他の隊員達が危険に晒されている
このままでは足手まといになる事はおろか、ボーダー隊員失格だ
「すみません、後でゆっくり相談します」
先程のは偶然かもしれない、そう思い頭の片隅に追いやる事にした
「戻ったならいい…行くぞ」
「「了解!」」
どうやら私がボーッとしている間に、遼と風間さんで新型が逃げないように退路を塞いでいたらしい
一気に4人で間合いを詰めると、耳を遼と士郎で斬る
その隙に足を集中的に攻撃していくと、少しずつ敵の動きが鈍くなってきた
「片足、ほぼ削ぎ終えました!」
「よくやった…次は目、その後に諏訪の救出に取り掛かる」
風間さんは指示を出すと、すぐに目を狙って新型の死角から斬りこんでいく
耳を失った新型は、先程より機動力も落ちた事から対応が遅い
しばらく攻撃を続けていると風間さんの刃が、敵の目を斬る
すると敵の動きは止まり、倒れた