第6章 真昼の夜
「おりゃ!」
色々なところに全員で斬り込む
だが決して同じ場所を攻撃しない、鮮やかな連携だ
私は頭がよくないのもあって、この人なら次ここだろう…くらいにしか考えてはいないが、全員で血の滲むような練習をした結果だ
「掴まれるなよ、電撃にも注意しろ!」
「はい!」
「捕まりっこないですよこんな動き…」
士郎の煽りが聞こえたかのようなタイミングで、新型は地面を殴り視界を妨げる
目に力を集中させれば、遼と風間さんがステルスモードになるのが見えた
…これは士郎が囮だろう
私も素直にカメレオンを使うと、新型は士郎の方をジロリと見た
「うわぁ…やだなぁ」
そう言うや否や、士郎は綺麗に吹っ飛ばされ廃屋の壁に激突する
急いで吹っ飛んだ方向へと走り込み、正面に立つ
新型が突っ込んでくる直前にステルスを解除し、スコーピオンで腹部から顎にかけて思いきり斬りこんだ
あわよくば目まで斬るつもりだったのだが、私達が一斉に攻撃する一瞬前、口を閉じて目を隠され誰もトドメを刺せなかった
「もー琥珀まで何やってんだよ、せっかく僕が囮になったのに」
ぶぅぶぅと文句を言う士郎を置いておき、レーダーが耳という他のトリオン兵との共通点を発見したのは大きいだろう
「菊地原、装甲が厚いのはどの辺りだ?」
「特に厚いのは両腕、あとは頭と背中。これ削り切るのしんどいですよ」
「薄いところからバラしていけばいい…まずは耳、足…それから腹だ」
軽く優先順位を決める風間さんの話を聞きながら、私と見つめ合う新型を見て、何故か知らない人たちの姿が私の脳裏に映った
黒い服を着た人達…
何やら、会議をしているような雰囲気だ
その人たちは何やら画面を眺めていた
そこに映っていたのは…
「…私?」