第2章 目覚め
「風刃の性能は把握した…あと3週間の間に必ずお前を倒してブラックトリガーを回収する」
「待ってください、まだ私はやれます!それに奈良坂さんと古寺も…!」
「琥珀、お前の実力では奈良坂と古寺を使っても迅には勝てない。それに今ブラックトリガーを使っても、玉狛に乗り込むには人手が足りなさすぎる…撤退だ」
嵐山隊と交戦中だった当真さん、米屋さんがベイルアウトしたのはさっき歌歩ちゃんから聞いた
「で、でも!三輪さんと出水さんだって…!」
『二人とも負傷してるわ、琥珀ちゃん、風間さんの言う通りよ』
「か、歌歩ちゃんまで…」
納得がいかない、と頬を膨らませると迅さんが軽く笑った
「戦い足りないんだろ?皆の支援に徹底してたからな」
「そ、そういうわけじゃ…」
「今度個人戦してやるから許せよ、琥珀」
「迅さんはランク戦できないじゃないですか!それに負ける度にお尻触ってくるし!」
迅さんにすら宥められ、自分が悪いと分かっていながらも当たり散らすと、通信がきた
『琥珀、いつまで子供みたいな事してんの?いい加減任務終了して寝たいんだけど?』
「し、士郎!アンタみたいに一番先にベイルアウトした奴に言われたくない!」
『うるさいブス、風間さんを困らせるなよ』
少し低い声で士郎に怒られたのは久々だ
きっと風間さんを困らせている上に自分の事を馬鹿にしたからだろう
「う…わかりました、撤退します」
しゅん…となる私に、迅さんが再び微笑む
「緑川にもよろしく言っといてくれよ、じゃあな!」
笑顔でそういうと、風刃で私達を斬る
その瞬間私は右手を振り下げ、そのままベイルアウトした
「…やっぱ、琥珀ちゃんは負けず嫌いだなぁ」
そういう迅の肩には、スコーピオンが刺さった跡が残っていた