第2章 目覚め
「逃げられないのは…そっちだよ!」
剣を振りかざす迅さんを見て、咄嗟に攻撃手トリガーに戻す
この囲まれた空間でメテオラやバイパーは、仲間に被弾する可能性がありすぎた
そのうえ、この空間は三方向壁で囲まれており、どうしても迅さんに有利
そして、既に数本の風刃が消えている…壁にまだ残っているようだ
「太刀川さん!!」
咄嗟に名前を叫ぶと同時に、数本の風刃が太刀川さんに突き刺さる
このままでは、太刀川さんはトリオン漏出過多でベイルアウトするだろう
すかさずカメレオンを解きつつ走ってきた二人と同様に、迅さんに一太刀入れてやろうと走りこむ
風刃を一本使い、遼を斬ると彼が叫んだ
「風間さん、0本です!」
この瞬間を狙うためのカメレオンだったらしい、風間さんは風刃を全く警戒せずに突っ込んでいった
スコーピオンの隙間をまた突かれるが、風間さんお得意のモールクローで足を突き刺す
「太刀川!琥珀!!」
その掛け声と共に前後から迅さんを狙う
太刀川さんは風間さんごと斬る予定らしい、いつもなら激怒するが今回は見逃すしかない
「待て太刀川!」
唐突に風間さんが叫ぶと、風間さんの足と太刀川さんの腕が緑色の光によって飛ばされるのを見た
全部読まれていた…ってことだろうか?
「流石風間さん、気付いて一瞬止まろうとしたでしょ?」
「だが遅かった…俺たちの動きを予知して斬撃をガレージの中に残していたのか…」
「あんた達は強い、ブラックトリガーに勝てるくらい…でも、風刃と俺のサイドエフェクトは相性が良すぎるんだ」
ニヤリ、と笑う迅さんは最初から勝利を確信していたようだった
このままではまずい、と風間さんと太刀川さんを庇うような立ち位置に立ちながら路地へと逃げる
迅さんを路地まで出した瞬間に三人で立ち向かうが、リロードした風刃で私達を斬り刻もうとしてくる
案の定私は左腕を斬られ、残りの二人も浅いが数か所の斬撃を食らう
どうやら彼は、まだまだできるらしいが、ウチの二人の隊長がそろそろベイルアウトしそうだ