第6章 愛の悲しみ
俺は頭を抱えて項垂れた。
その時、スマホがメールの着信を知らせた。
相手は…
翔さんか…
『さっきは邪魔してごめん。
潤の都合が良ければだけど、明後日の土曜日に会いたいんだけど、どうかな?』
断る理由は俺にはない。
『了解。ただ、外出はしたくないから、俺の部屋まで来て欲しい』
『了解。また連絡する』
事務的なメールのやり取りが終わり、俺は丸くなって眠る智の隣に身体を滑りませた。
頬を撫でると、擽ったそうに肩を竦め、俺の胸に顔を埋めてくる智が、
愛おしくて堪らなかった。
『21時頃伺うよ』
そう翔さんから連絡があったのは、丁度智との夕食の最中だった。
智は翔さんがここに訪ねて来ることを知らない。
寧ろ知る必要もない。
智には暫くの間眠ってて貰うから。
「智、はいビール」
グラスにビールを注ぎ、智の前に差し出す。
ごく微量の睡眠薬を混ぜて…
「ん、サンキュ」
智は何の疑いもなくそれを受取り、一気に煽った。