第16章 永遠に君想う…
その晩俺は夢を見た。
夢の中で、智は俺の隣で、いつもと変わらない顔で笑っていた。
そう、気が抜けてしまいそうな、あのふにゃふにゃした笑顔で…
俺は智に聞いてみる。
「なあ、俺といてお前は幸せだったか」と…
すると智は暫く考えてから、こう答えたんだ。
「翔くんが幸せだったなら、俺も幸せだったよ」
と…
そしてそっと瞼を伏せると、俺の手を握って、
「あのね、一つだけお願いがあるんだ。
もう一人で泣いたりしないで? 翔くんが泣いたら俺…余計に悲しくなるから…」
そう言って、綺麗な雫を一粒落とした。
俺だけじゃないんだ、一人になって寂しかったのは…
智だって同じなんだ。
「分かった、もう泣かない。だから智も約束してくれないか? 俺がそっちに行くまで、ちやんと俺の場所空けて待ってるって…。約束してくれないか?」
智、お前の隣は俺だけの場所だから…
「空けとくよ、いつまででもずっと…。翔くんがこっちに来るまで、ずっと…」
良かった…
それが聞けただけで俺は、この先何年残されているか分からない人生を、一人でも歩いて行ける。
「でも俺、あんまり長くは待てないかも…」
そうだよな、お前人一倍寂しがり屋だしな。
「いいよ、そん時は迷わず俺を迎えに来い。いつでも玄関の鍵は開けとくから…」
「うん…」
「もっとも…、そう長く待たせるつもりもないけどな」
大体、智がいなきゃ飯の支度だって満足に出来ないんだから、俺は…
「待ってる…。また翔くんに会えるまで、ずっと待ってる。だから今はちょっとだけバイバイ」
「ああ、寂しいけどな…。でもまたいつかきっと…」
この腕に智、お前を抱く日まで…
それまでの間さよならだ…
「あ、最後に一言いいか?」
「なに?」
愛してる、永遠に…
智、お前だけを…
「Pentagon」 〜All END~