第6章 愛の悲しみ
「…えっ? 今の…何…?」
見なくても分かる…明らかに動揺してる。
「ご、ごめん、取り込み…中だったね…。」
「ん? 気にしないで? で、いつにすんの?」
言いながらも、俺の手は智を責め立てる。
「…やだっ…も、やっ…んぁ…はぁ…ん、ん…」
手で智の反り勃ったモノを上下に擦ってやると、智の身体が大きく仰け反った。
「あ、あ、ダメ…イッちゃ…う…」
先端から溢れ出す熱。
瞬間脱力した身体がベッドに沈んだ。
智はそのまま意識を手放した。
髪を撫で、半開きの唇にチュッと音を立てて口付けた。
「………………明日にでもメールするよ。ごめ…」
耐え切れなくなった翔さんが、強制的に通話を終了させた。
「ごめん、智…」
智の身体をタオルで清め、腕の中に抱き込んだ。
「…ん…潤? …泣いてるの?」
虚ろな目で俺を見上げる智に言われて、俺は初めて泣いてることに気付いた。
「何でもないよ?」
ばか、そう言って智は微笑み、また目を閉じた。
あぁ、確かに俺は馬鹿だ…
智は今俺の腕の中にいるのに…
翔さんに智は俺のモノだ、って知らしめる事に何の意味がある?
返って翔さんを焚き付けているだけじゃないのか?
あの日、俺は翔さんの背中を見て確信した筈だ、まだ心の中に智がいる事を…