第6章 愛の悲しみ
2人で夕食の片付けを済ませ、ソファで寛いでいると、智が俺の肩に凭れかかってきた。
「どうした、眠い?」
顔を覗き込むと、欠伸を一つ零して、瞼を擦った。
「ん…眠くな…くはない」
何だそれ、と笑いながら立ち上がった俺は、普段よりも暖かくなった手を取り、寝室へ誘う。
「ここで寝ちゃダメ?」
ソファを指差す智に、
「ダメだ。ちゃんとベッドで寝ないと身体に良くない」
と言い聞かせる。
「…分かったよ…」
不貞腐れた口調で言い、智は口を尖らせた。
「はぁ…動くの面倒い…」
尚も続ける智に動く気配は一向に感じられなくて、俺は強引にその身体を抱き上げた。
「わ、ちょ、ちょ、おまっ…」
突然の出来事に驚いたのか、抱き抱えられながら、智はジダバタと暴れだした。
「暴れんなって…。落ちんだろ?」
「…だって、やなんだもん…女みたいで…」
前にもそんなようなこと言ってたな…
「俺の下ではいつも女の子みたいだけど?」
即座に言葉の意味を理解したのか、智の顔が真っ赤に染まった。
「ア、アレは…別だ…」
睡魔に負けそうなトロンとした視線をプイと逸らすが、その両手はしっかり俺の首に回された。