第5章 月光
頭の中が真っ白に弾けた。
瞬間襲ってくる羞恥心。
そして零れる涙。
「やだって言ったのに…」
「うん」
「だめって言ったよ?」
「うん、聞こえたよ?」
溢れる涙を潤の指が掬う。
「じゃ何でそんなことすんの?」
「俺がしたかったから…」
ゆっくり抱き起こされ、潤よりも小さな俺の身体は、その腕の中にすっぽり抱え込まれた。
「俺が出来るのは、ここまでだから。
俺のさ…男としては終わってるから…」
声が震えてる。
泣いてるの?
「どうゆうこと?」
潤の顔を見上げた。
フッと笑って瞼を伏せたから、聞くべきじゃなかったのかも、と後悔した。
俺の気持ちを察したのか、潤の手が俺の髪を撫でた…気にすんな、って…
「子供の頃に原因不明の熱病にかかったことがあってさ、それが原因でダメんなったんだ。
気付いたのは高校の時でさ、初めて付き合った子がいてね…でも出来なかった。
ショックだったな…」
そんな事があったなんて、俺は知らなかった。
「もしかして相葉ちゃんはそのことを?」
俺の問いかけに潤が頷く。
「雅紀は優しいから、色々親身になって相談に乗ってくれて、協力して貰ったりもしたよ。
利用もしたしね?
…雅紀には悪いことしたな、って思ってるよ」
「馬鹿だな、お前…」
俺は少しだけ背伸びをして潤にキスをした。